虹ヶ咲とI LOVE YOU
I LOVE YOU.
直訳すれば「私はあなたを愛しています」。
かの有名な夏目漱石曰く、
「"I love you,Signora Laura."―Vittoria p.113.此I love you ハ日本ニナキformulaナリ」
と。
つまり、「このI LOVE YOUは日本にない決まり文句である」と。
その一方で、夏目漱石曰く、
「月が綺麗ですね」
と。
夏目漱石がI LOVE YOUをこのように訳したとも言われています(出典が曖昧なため真偽は定かでは無いですが)。
また、このような文献もあります。
曰く、「我々は『いい月ですね』と言っても、『海が静かですね』と言っても、時としては『アイ・ラヴ・ユウ』の翻訳になる」と。
すなわち、
日本語の奥ゆかしさや表現力を活かすことで、「愛してる」なんて直接的な言葉を使わずとも相手に愛を伝えたりその想いを共有できたりする
ということです。
ただしここでいうI LOVE YOUとは、全てが愛の告白ではありません。
尊敬も憧れも感謝も競争心もすべてひっくるめて大切な想いであり、「仲間でライバル」です。
具体的に見ていきましょう。
歩夢「綺麗だね、月」
侑「うん」
2人の間に「愛してる」や「好き」なんて言葉はありません。
当たり前のような事象である「月が綺麗」を言葉にして、それに同意しただけ。
でもこのシーンをただ文字通りに解釈した人はいないことでしょう。
お互いがお互いのことを大好きで、同じ景色を見ながら同じ気持ちを共有して、隣にいられる幸せを噛みしめているような1シーン。
これが愛の告白だったとか、この後2人は結ばれたとか、そういったことはないけれど、大切な想いを共有できたことは確かです。
このシーンがあったからこそ12話の悩みにも繋がったでしょうし。
少し整理しましょう。
互いに向かい合って愛を伝えるならば、「I LOVE YOU」。
(厳密にはこのシーンで愛の告白をしたわけではありませんが…)
相手ではなく、寄り添い合って同じ方向を眺めながら愛を囁くならば、「月が綺麗ですね」など。
何かを一緒に眺めながらその美しさや雄大さなどを共に感じ、心を通わせる。
そして直接的ではなく婉曲的に、一見関係ない言葉に愛を含ませ想いを乗せて短く囁く。
それだけで、充分なんです。
日本語特有の奥ゆかしさや情緒が多分に感じられるシーンですね。
他にも虹ヶ咲にはこんな描写があります。
アニメ虹ヶ咲のOPEDには、みんなで一緒に虹や太陽を見る描写が必ずあります。
ここで彼女たちが会話をしていたのか、どんな会話をしているのか、公に語られているわけではないのでどんなことを書いても憶測の域を出ないのは確かなのですが…
それでも彼女たちならば、彼女たちが育んできた絆ならば、
多くの言葉がなくとも色んな大切な想いを共有できているだろうと思ってしまいます。
やりたいことはバラバラ、目指す方向性もバラバラ。
みんなそれぞれが自分の好きなことを追求してきた同好会。
でもこんなことも言っています。
さあ日々冒険の それぞれの地図(MAP)
同じものはないね きっとないね
夢の色も違うけど 想いは一緒だよ
熱く、一緒だよ! (NEO SKY,NEO MAP!)
これ以上の説明は不要でしょうかね。
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時は2023年2月4日、5日。
東京ガーデンシアターにてA・ZU・NAの1stライブが開催されます。
最新のシングル「Blue!」で、彼女たちはこんなことを歌っています。
想像の何倍も青い青い未来がある
(中略)
探そう!
僕らだけのBlue!
世界は青いから
この曲の一番言いたい部分はここで、このような光景が浮かんでくると思うわけです。
3人でどこまでも続く水平線を眺めながら、一言だけ呟く。
僕らだけの青い世界を、青い未来を「探そう」と。
たったそれだけの言葉で大切な想いを共有できる絆を彼女たちは育んできたのです。
そんなA・ZU・NAと虹ヶ咲の未来をこれからも見続けて、応援し続けたいですね。
最後になりますが、虹ヶ咲の歌詞の中で最も端的なI LOVE YOUの表現であるこの言葉を、A・ZU・NA ユニットライブでもみんなで共有できたらいいなと思い、締めくくりとします。
虹がねぇ 見えたの!
この曲のタイトルは?
そう。
"Love U" my friends
Rhyze_りぜ